最小計量値について

2018/08/16
最適な天びんを選定するために参考となる最小計量値について
 
最小計量値とは
天びんを含めるすべての計測器は、「測定の不確かさ」の影響を受けます。「測定の不確かさ」とは、指示値(表示値)から測定結果の真の値とが相違する度合いです。例:機器の精確さ(総合精度)。このため、天びんの最小表示が、天びんの精確さ(総合精度)であるとも言えません。最小表示の細かい天びんは、一般的に最小表示の粗い天びんよりもある程度の高い精確さが提供されます。(例:最小表示 0.1mg の天びんは 1mg よりも総合精度が高い)

質量が測定される範囲で、質量の「測定の不確かさ」(または測定誤差)の主な要因となるのは、天びんの繰返し性です(同じ測定条件で同じ荷重を繰返し測定した際に天びんが同じ結果をもたらすことができない能力(特性))。この特性は、評価可能な特性であり、この値を基に「測定の不確かさ」の絶対値が算出されます。(通常10回の測定の標準偏差値が繰返し性の特性となり、この値に他の特性の誤差を加算し、絶対値を算出)。このため、サンプル荷重が上がれば上がるほど、「測定の不確かさ」の絶対値は上昇しますが、その反面、「測定の不確かさ」相対値(%)は減少します。

「測定の不確かさ」の相対値(%)は、高い測定範囲では非常に低いのに対し、低い範囲では上昇します。最小計量値とは、天びんのユーザーが質量を測定する際に設定する(希望する)許容管理幅(%)(プロセストレランス)を確保できる限界値であり、この値以上の質量を測定すれば常に設定された許容管理幅(%)を維持することができる値です。このため、最小計量値を求める際に必須となる条件は、質量を測定する際にユーザーが必要する測定の精確さ(%)(総合精度、許容管理幅またはプロセストレランス)です。

天びんの性能は、計量器の有する能力と据付環境、更にはオペレータスキルにより決まります。このため、天びんが使用される環境が決まり、据え付けられる際には、必要となる特性(例:繰返し性等)と「測定の不確かさ」が評価されなければなりません。以下の表は、適切な天びんを選定するための最小計量値の参考値が掲載された資料です。

USP 最小計量値
USP(米国薬局方)General Chapter 41には、"Accurately Weighed"(精密に量る)必要のある品質試験に使用されなければならない天びんに義務付けれた要件(法律)が定義されています。特別な指示がない限り、サンプルを"Accurately Weighed"する必要がある場合、天びんは使用範囲で校正され、繰返し性(Repeatability)と正確さ(Accuracy)の要求を満たさなければなりません。また、USP General Information1251で定義される「最小計量値」の要件を満たすことも必須となります。本ガイドラインはUSPに準拠しなければならない医薬品製造ラボに関連する要件であることを理解することが重要です。

USP (米国薬局方)では、品質試験に使用される天びんの繰返し性の標準偏差×2(K)を最小正味重量で除算した値の相対値(%)が、0.10%以下でなければならない。拡張係数(K)は、統計学で95.4%の確率まで包含する係数であり、包含係数とも呼ばれ、通常K=2(95.4%)で設定されます(USPでも拡張係数2を採用)。

最小計量値(代表値) - 製品の量産製造時に実施される製品試験で得られた平均的な繰返し性の結果より、指定された条件(U=0.1%または1%、K=2)で最小計量値を算出した値です(Uは許容管理幅(%)です)。この値は、天びんの据付環境に大きく依存するため、据付を予定する環境での実機評価をお勧めします。

 
製品型式 最小表示 最小計量値(代表値)
(U=0.1%, K=2) (U=1%, K=2)
エクスプローラー(EX) 0.01 mg 20 mg 2 mg
0.1 mg 120 mg 12 mg
1 mg 1.2 g 120 mg
0.01 g 12 g 1.2 g
0.1 g 120 g 12 g
アドベンチャー(AX) 0.1 mg 200 mg 20 mg
1 mg 2 g 200 mg
0.01 g 20 g 2 g
0.1 g 200 g 20 g
パイオニア(PX) 0.01 mg 20 mg 2 mg
0.1 mg 200 mg 20 mg
1 mg 2 g 200 mg
0.01 g 20 g 2 g
0.1 g 200 g 20 g